「公務員の定年が65歳になるって本当?」
――本当です。定年年齢は段階的に引き上げられて、国家公務員は2031年度(令和13年度)から65歳定年になります。ただし、給料は61歳に達する年度から7割になります。
FP2級元自衛官ノフクです。
定年が延びたからお金の心配はしなくていい、ではありません。
61歳になる年度からは給料が減るので、それを踏まえた人生設計が必要です。
この記事では、人事院と内閣人事局の資料をもとに、給与・退職手当と自衛官はどうなるかを整理します。
(基準時点:2026年9月時点の制度)
定年延長の背景には、年金を受け取り始める年齢が65歳へ引き上げられたことがあります。
60歳で定年を迎えると、年金受給まで5年間空いてしまいます。
そこで、年金受給年齢まで働けるようにする、というのが定年引上げの理由のひとつです。
はじめにお断りしておくと、この記事で扱う制度の説明と数字は国家公務員のものです。
地方公務員の定年は各自治体の条例で決まりますが、国家公務員の定年を基準として定めることが法律で求められています(地方公務員法 第28条の6第2項)。
ただし、職務の特殊性などにより実情に合わないと認められる場合は、条例で別に定めることもできます(同条第3項)。
正確な定年年齢は自分の自治体の条例で確認してください。
また、自衛官だけは階級ごとに定年が決まっていて、ここで説明する制度とはまったく別です。
自衛官の制度については、記事の後半で説明します。
この記事は、「副業できない人の資産形成の3つの柱」の柱①『家計を整える』にあたる記事です。
まず、自分が何歳定年なのかを確認する
国家公務員の定年は2年に1歳ずつ引き上げられています。一気に65歳になるわけではありません。
| 年度 | 定年 |
|---|---|
| 2022年度(令和4年度) | 60歳 |
| 2023〜2024年度(令和5〜6年度) | 61歳 |
| 2025〜2026年度(令和7〜8年度) | 62歳 |
| 2027〜2028年度(令和9〜10年度) | 63歳 |
| 2029〜2030年度(令和11〜12年度) | 64歳 |
| 2031年度〜(令和13年度〜) | 65歳 |
ただ、この表だけでは自分がどこに当たるのか分かりにくいと思うので、早見表を作りました。
| 生まれた日 | 定年退職する年度 | 定年退職の年齢 |
|---|---|---|
| 1962年(昭和37年)4月2日〜1963年4月1日 | 2022年度(令和4年度) | 60歳 |
| 1963年(昭和38年)4月2日〜1964年4月1日 | 2024年度(令和6年度) | 61歳 |
| 1964年(昭和39年)4月2日〜1965年4月1日 | 2026年度(令和8年度) | 62歳 |
| 1965年(昭和40年)4月2日〜1966年4月1日 | 2028年度(令和10年度) | 63歳 |
| 1966年(昭和41年)4月2日〜1967年4月1日 | 2030年度(令和12年度) | 64歳 |
| 1967年(昭和42年)4月2日以降 | 65歳になる年度 | 65歳 |
人事院も「昭和42年(1967年)4月2日以降に生まれた方は65歳定年が原則となります」と説明しています。
なお、「65歳定年が原則」と書かれているのは、医師や歯科医師など、65歳を超える定年が定められている職があるためです(国家公務員法 第81条の6第2項)。
本題:給料が7割になるのは「61歳に達する年度」から
ここは給料が下がることを知っている人でも間違えやすいところです。
下がるのは60歳になった瞬間ではありません。60歳に達した日のあと、最初の4月1日からです。
この7割の措置は「当分の間」とされていて、いつまで続くかは決まっていません。
人事院は2026年8月の給与勧告で、60歳前後の給与水準を見直す検討を急ぐとしています。
| 各種手当 | 7割になるか |
|---|---|
| 地域手当、期末・勤勉手当 など | 7割になる |
| 住居手当、扶養手当、通勤手当 など | 7割にならない |
見落としやすいのが期末・勤勉手当(ボーナス)も7割水準になることです。
ここを考慮せずに年収を見積もると、実際とかなりずれます。
資料に載っている例だと、本府省の課長補佐級で基本給427,000円が298,900円になります。

毎月の給料だけ下がるのではなくボーナスも7割になるので、家計への影響は大きいです。
ただし、住居手当や扶養手当などは影響を受けないので、下がる前の給料のちょうど7割というわけではありません。
管理職の人は基本給が下がるだけでなく、管理職手当もなくなります
管理監督職の人は、60歳の誕生日から最初の4月1日までの間に非管理監督職のポストに降任等することになります。
資料の例は本府省の課長級です。基本給は次のように動きます。
| 段階 | 基本給 |
|---|---|
| 役職定年の前(本府省課長級) | 532,000円 |
| 降任後のポスト(課長補佐級) | 427,000円 |
| 61歳に達する年度から | 372,400円 |
ここで間違えやすいのが、61歳に達する年度からの金額です。これは降任後の基本給の7割ではありません。
427,000円の7割なら298,900円です。372,400円は、降任する前の532,000円の7割にあたります。降任した人には、降任する前の基本給の7割を下回らないようにする仕組みがあるためです(給与法附則第10項)。
ただし、降任して管理監督職ではなくなるので、管理職手当(俸給の特別調整額)はなくなります。
7割の保障がかかるのは基本給だけなので、給料全体で見ると7割よりさらに下がる可能性があります。
また、降任は4月1日を待たずに行われるので、降任した段階で基本給が一度下がり、61歳に達する年度の4月1日になったら7割の金額までもう一段下がることになります。
退職手当は減額される前の俸給が考慮されます
ここは安心材料です。「給料が7割になったから退職金も7割」ではありません。
- 60歳以後に定年を迎える前に自己都合退職しても、退職手当は「定年退職」として算定される
- 7割措置や役職定年で俸給が下がっても、減額される前の俸給月額の最高額を考慮して計算される(ピーク時特例)
つまり、60歳以降の退職手当は「減額前の俸給月額」と「退職時の俸給月額」の両方を使って「定年退職」扱いで計算されるということです。
ここを誤解している人も多いようなので、知っておいてください。
ただし、誰にでも同じように当てはまるわけではありません。
「定年退職」として計算されるかどうかは、勤続期間などで変わります。
国家公務員退職手当法では、11年以上25年未満の場合と25年以上の場合で規定が分かれており、対象にならない職員もいます(国家公務員退職手当法 附則第12項〜第14項)。
なお条文には「非違によることなく退職した場合」という条件もありますが、これは懲戒の対象になるような不正行為が理由の退職ではない、という意味です。
辞める時期で金額が変わるので、決める前に必ず人事担当に確認してください。

選べる働き方が増えています
- 定年前再任用短時間勤務制:60歳以後に定年前退職して、短時間のポストに再任用される(週15.5時間〜31時間)
- 暫定再任用:定年引上げの経過期間中、65歳到達年度の末日まで
どちらも扶養手当は支給されません。家計への影響が大きいので確認しておいてください。
なお、60歳に達する年度の前年度に、任命権者から制度の情報提供と60歳以後の勤務についての意思確認が行われることになっています(国家公務員法 附則第9条)。
ここが、考えるための期限になります。
自衛官の現在の定年と定年引上げ
ここは混同してはいけないところなので、改めてお伝えします。
自衛官の定年は階級ごとに決まっていて、他の公務員の65歳定年の話とは別物です。
| 階級 | 定年 |
|---|---|
| 将・将補 | 60歳 |
| 1佐 | 58歳 |
| 2佐・3佐 | 57歳 |
| 1尉・2尉・3尉・准尉 | 56歳 |
| 曹長・1曹 | 56歳 |
| 2曹・3曹 | 55歳 |
統合幕僚長・陸海空幕僚長・統合作戦司令官の職にある将は62歳。医師・歯科医師・薬剤師、音楽や情報関係の業務に指定された自衛官、警務官のうち1佐以下は60歳です。
士(任期制)は定年ではなく任期で区切られます。
そして、この自衛官の定年もこれから引き上げられます。
2025年(令和7年)6月10日の関係閣僚会議で、2028年から2032年(令和10年から14年)までの5か年をかけて、全階級の定年を2歳ずつ引き上げる方針が示されました。
引上げ時期は各年の10月1日が想定されています。
| 階級 | いまの定年 | 引上げ後の定年 |
|---|---|---|
| 将・将補 | 60歳 | 62歳 |
| 1佐 | 58歳 | 60歳 |
| 2佐・3佐 | 57歳 | 59歳 |
| 1尉〜1曹 | 56歳 | 58歳 |
| 2曹・3曹 | 55歳 | 57歳 |
ただし、この引上げはまだ自衛隊法施行令に反映されていません(2026年9月時点)。
方針として示されている段階です。
あわせて、看護師である幹部自衛官と、宇宙・サイバー関連の業務に従事する自衛官の一部を、60歳定年の対象に加えることも示されています。
つまり、自衛官は「65歳まで働ける公務員」ではありません。
その分、若年定年退職者給付金といった制度があり、再就職する前提で設計されています。
自衛官が定年から年金受給までの約10年を、どんな収入でつなぐのかはこちらにまとめています。


同じ公務員でも前提がまるで違います。
一般の公務員向けの話をそのまま受け取ると、自衛官と異なる場合があるので注意してください。

これからやること
制度の話が続きましたが、やることは1つです。
ライフプラン表の収入欄を「定年まで満額支給」で作っていたら、作り直してください。
7割になる期間と、退職手当や年金を受け取り始めるまでの間をどうつなぐか。
ここが見えるだけで判断が変わります。
書き換えるのは3か所です。
- 61歳に達する年度から、俸給を7割にする(ボーナスも7割で計算する)
- 管理監督職なら、役職定年で下がる分も反映する
- 退職手当を受け取る年と、年金が始まる年を反映する
この3つを入れ直すと、「何年後にいくら足りないのか」が数字で見えてきます。
お金が足りなくなる年が見つかったら、改善するために今から準備していきましょう。

公務員の貯金についてはこちらにまとめています。

まとめ
- 定年は2年に1歳ずつ引き上げ中。2025〜2026年度(令和7〜8年度)は62歳
- 給料が7割になるのは60歳ではなく「61歳に達する年度」から。ボーナスも7割になる
- 管理監督職は役職定年で管理職手当がなくなる。基本給は元の7割が守られる
- 退職手当は減額前の俸給も使って計算される。7割にはならない
- 自衛官は階級ごとの定年で、まったく別の制度
私が貯金ゼロから1,000万円を作った道のりは、プロフィールにも書いていますのでよかったら見てみてください。

