「自衛官は定年が早いと聞くけど、退職した後の生活はどうなるんだろう」
――自衛官は定年から年金受給まで、10年近くあります。その間は、一般的には「再就職して得る賃金」と「若年定年退職者給付金」(以下、若年給付金)の2つが収入の柱になります。
FP2級元自衛官ノフクです。
この記事では、防衛省が示しているモデルケースの金額をもとに、定年から年金受給までのお金の動きを解説します。(基準時点:2026年9月時点の制度)
若年給付金などの自衛官が退職してからもらえるお金については、こちらにまとめています。

この記事は、「副業できない人の資産形成の3つの柱」の柱①『家計を整える』にあたる記事です。
年金受給まで何年あるのか
自衛官の定年は階級ごとに決まっています。一方、年金が始まるのは原則65歳です。
その間が、再就職の賃金と若年給付金を収入源として生活していく期間になります。
| 階級 | 定年 | 年金まで |
|---|---|---|
| 2曹・3曹 | 55歳 | 10年 |
| 1尉〜准尉・曹長・1曹 | 56歳 | 9年 |
| 2佐・3佐 | 57歳 | 8年 |
| 1佐 | 58歳 | 7年 |
| 将・将補 | 60歳 | 5年 |
なお、自衛官の定年は2028年度から2032年度にかけて、全階級で2歳引き上げられる方針が示されています(内閣官房の関係閣僚会議、2025年6月10日の資料)。
そのとおりになれば、この表の「年金まで」の年数は2年ずつ短くなります。
年金が始まるのは65歳からですが、60歳から繰り上げて受け取ることもできます。
ただし、1か月早めるごとに0.4%減り、60歳から受け取ると毎月の支給額が24%減った額になります。
一度繰り上げ受給を始めると取り消せず、繰り上げたあとは障害年金を請求できない場合もあります。
防衛省が示しているモデルケース
防衛省の資料に、曹長と1尉の年収推移のモデルケースが載っています。
| 階級 | 現役最後(56歳) | 56〜60歳 | 60〜65歳 |
|---|---|---|---|
| 曹長 | 約720万円 | 約560万円 | 約370万円 |
| 1尉 | 約760万円 | 約650万円 | 約440万円 |
曹長のモデルで見ると、現役最後の約720万円が、退職後は約560万円になります。
そして60歳を過ぎると約370万円。現役のころと比べると、およそ半分です。
内訳は、56〜60歳が再就職の賃金310万円+若年給付金250万円。60〜65歳が再就職の賃金230万円+若年給付金140万円です。
なお、この金額は若年給付金が引き上げられる前(前期は1年につき6か月分、後期は3.45か月分)の水準で計算されています。これから退職する人は、その分だけ増えます。
再就職の賃金は就職先の状況などによって変わりますが、若年給付金は60歳から計算式が変わって金額が下がることになります。
どう変わるかは次の項目で詳しく解説します。
なぜ60歳でもう一段下がるのか
若年給付金は、定年から60歳までの「前期」と、60歳から他の公務員の定年までの「後期」に分かれています。
そして、後期は前期より少ない支給係数で計算されます。
たとえば2026年4月1日から2027年3月31日までに退職する人なら、前期は1年につき退職時の俸給月額の7か月分、後期は3.83か月分が支給係数となり、後期は前期のおよそ半分です。
この係数は段階的に引き上げられている途中で、退職する年度によって変わります。
年度ごとの係数は自衛官の若年定年制と退職金の記事にまとめています。
若年給付金は「まとめて」は入りません
ここが家計を考えるうえで大事なところです。
若年給付金は4回に分けて支給されます。前期で2回、後期で2回です。
しかも、後期の2回目が支給されるのは62歳を迎える年の8月です。(2026年9月時点)
全部を受け取り終わるのは、定年が早い人だと退職から6年以上先になります。
「退職したらまとまったお金が入る」と考えて家計を組むと、計算が狂ってしまいます。
いつ、いくら入るのかを確認しておきましょう。
なお若年給付金は、自衛官として通算20年以上勤続して定年退職した人が対象です。
誰でも受け取れるわけではありません。
もうひとつ、モデルケースの金額は額面です。
若年給付金は非課税ではなく、1回目は退職手当と合わせて退職所得、2回目以降は一時所得として課税されます。
また、再就職で得た収入が多いと、若年給付金が減らされる仕組みもあります(防衛省の資料の金額も「所得による支給額の調整等がない場合」の数字です)。
定年から年金までをどう対策するか
やることは3つです。
- 現役のうちに固定費を下げる。収入が半分になると生活費が重く感じてしまいます。早めに固定費を見直しておくことは資産形成を進めるうえでも大切です
- 退職手当の置き場所を決める。退職手当は使う分と当面使わない分に分けておいて、老後資金を確保しておきましょう
- ライフプラン表に3段階で書く。現役・56〜60歳・60〜65歳で収入が変わっていくので、同じ数字で埋めるとライフプランが狂います
それぞれ、記事にまとめています。
ライフプラン表の記事では、無料で試せるツールも紹介しています。



一般の公務員とは事情が違います
自衛官ではない公務員は、定年が段階的に引き上げられている最中で、2031年度には65歳まで働き続けられるようになります。
そのかわり61歳になる年度から給料が7割になります。
同じ「公務員の定年」でも、自衛官とはまったく別の話です。
一般の公務員の退職金や定年延長で61歳からの給料がどう変わるかは別の記事にまとめています。


まとめ
- 定年から年金まで、2曹・3曹なら10年の空白がある
- その間の収入は再就職の賃金と若年給付金の2本立て
- 曹長のモデルで、現役約720万円 → 約560万円 → 60歳以降は約370万円
- 60歳で下がるのは、若年給付金の後期が前期のおよそ半分だから
- 若年給付金は4回に分かれ、受け取り終わるのは62歳を迎える年
私が貯金ゼロから1,000万円を作った道のりは、プロフィールにも書いています。

