公務員の退職金はいくら?国家公務員の平均と計算方法を解説

家計を整える

「公務員の退職金って、いくらなんだろう」
――結論から言うと、公務員の退職金は「退職日の俸給月額×支給率×調整率+調整額」という式で決まります。

FP2級元自衛官ノフクです。
この記事では、計算の仕組みと概算金額の出し方、そして退職金を受け取った後に守るべき3原則をお伝えします。(基準時点:2026年9月時点の制度と2024年度の調査結果に基づく)

はじめにお断りしておくと、この記事で扱う制度の説明と数字は国家公務員のものです。
地方公務員の退職手当は各団体の条例で決まります(地方自治法 第204条)。
ただし、給与は国や他の自治体との均衡を考慮して定めることが法律で求められているので(地方公務員法 第24条)、まったく別の制度というわけではありません。考え方の部分は参考になるはずです。
金額や細かい条件は自分の団体で確認してください。

この記事は、「副業できない人の資産形成の3つの柱」の柱①『家計を整える』にあたる記事です。

実際にいくら? 定年退職の平均は約2,160万円

内閣人事局が毎年、国家公務員の退職手当の支給状況を公表しています。
2024年度に退職した常勤職員の平均は次のとおりです。

退職理由人数平均支給額
定年退職11,073人約2,160万円
早期退職の募集に応じた場合1,859人約2,470万円
自己都合9,951人約345万円
内閣官房内閣人事局「退職手当の支給状況」(2024年度=令和6年度/2025年12月公表)をもとに作成

この統計は、国家公務員退職手当法が適用される常勤職員が対象です。行政職だけでなく、自衛官や公安職、税務職なども含んだ全体の数字です。
行政職俸給表(一)の適用者だけで見ると、定年退職は3,970人・平均は約2,149万円で、全体とほとんど変わりません。

目を引くのは、定年退職と自己都合で6倍以上の差があることです。
退職金は勤続年数と退職理由で大きく変わります。
「途中で辞めると退職金が少ない」というのは、数字のうえでもよく分かると思います。

もうひとつ気になるのは、早期退職の募集に応じた場合の方が定年退職より約310万円多いことです。
これは、定年前に募集に応じて辞める人には退職手当の割増があるためです。
勤続20年以上などの条件を満たすと、定年までの残り年数1年につき最大3%が退職日俸給月額に上乗せされます(国家公務員退職手当法 第5条の3)。
定年の10年前に辞めれば、最大で30%増しという計算です。

ただし、当たり前ですが早く辞めればその後の給与収入がなくなります。
退職金の割増だけで判断するものではありません。

平均だけでなく「散らばり」も見る

平均は一部の高い人に引っ張られることがあるので、金額ごとの人数も見てみましょう。
定年退職した11,073人の内訳です。

  • 1,500万〜2,000万円:2,166人
  • 2,000万〜2,500万円:6,953人
  • 2,500万〜3,000万円:1,228人

この3つの金額帯だけで全体の9割を超えます。
定年退職者の9割超が1,500万~3,000万円の範囲に入っており、平均の2,160万円は実態とかけ離れた数字ではないことが分かると思います。
ただし、この平均は定年まで長期間勤めた人の数字です。
定年退職した11,073人のうち、勤続30年以上が9割を超えています。
退職時に勤続30年以上の人なら、これくらいの金額を目安としておくと大きく外れることはないでしょう。

しかし、勤続年数が短いと、同じ定年退職でも大きく変わります。
勤続20〜24年の平均は約1,366万円、勤続15〜19年なら約856万円です。
中途採用で公務員になった人は、全体の平均ではなく自分の勤続年数で考えてください。

勤続年数別に見ると、もう一つ分かることがあります。
勤続35〜39年の平均が約2,330万円で最も高く、40年以上はむしろ約2,250万円に下がります。
理由の一つは、次の項目で説明する支給率が勤続35年で頭打ちになることです。
条文上、35年を超える期間は「勤続35年」として計算されるため、40年勤めても支給率は増えません(国家公務員退職手当法 附則第8項)。

支給率の頭打ちの他に平均が下がる理由として考えられるのは、退職時の俸給月額と調整額の違いがあります。
どちらも職務の級が関係する部分です。
勤続40年以上になるのは高卒で入った人が多いので、大卒で入った人より退職時の級が相対的に低くなる傾向があります。
長く勤めれば勤めるほど増える、というわけではありません。

計算の仕組み:4つの要素で決まる

  • 俸給月額:退職時の給料の月額(手当は含まない)
  • 支給率:勤続年数と退職理由で決まる倍率。勤続年数が長いほど大きくなりますが、定年退職の場合は勤続35年で上限に達し、それ以降は増えません
  • 調整率:官民の水準をそろえるために一律で掛ける率(現在は83.7%)
  • 調整額:在職中の職責に応じて加算される部分(職務の級が高い方から5年分をもとに計算)

支給率に調整率の83.7%を掛けると、現在の定年退職の上限は俸給月額の47.709か月分になります(2018年1月1日以降の退職に適用。基準時点:2026年9月時点)。

ざっくり言えば、長く勤めて、退職時の俸給が高くて、責任ある職に就いていた人ほど多くもらえる仕組みです。
正確な額を知りたい人は、職場の人事担当や共済組合に試算してもらうのが確実です。

ノフク
ノフク

「退職金はブラックボックス」と思われがちですが、計算式は公開されています。
人事担当に聞きづらいという人は、おおよその金額なら自分でも計算できます。

退職金の税金は?退職所得控除で負担が軽くなる

退職金には税金がかかりますが、退職所得控除という大きな非課税枠があります。
勤続年数が長いほど控除も大きくなるため、長く勤めた人の退職金は税負担がかなり軽く済むのが一般的です。
額面に近い金額を手取りとして受け取れるのは、退職金のありがたい特徴です。

ちなみに、退職所得控除という制度は公務員だけのものではなく、会社員にも適用されます。
また、iDeCoを一時金で受け取る場合も退職所得控除を使いますが、退職金とiDeCoの一時金を近い時期に受け取ると、勤続期間・加入期間の重複部分について控除が調整される場合があります。
iDeCoは受け取り方がいくつかあるので、利用する人はどう受け取るか事前に考えておきましょう。
公務員・自衛官のiDeCoについては、こちらにまとめています。

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控除額の計算式

  • 勤続20年以下:40万円 × 勤続年数(計算して80万円に満たない場合は80万円が控除額)
  • 勤続20年超:800万円 + 70万円 ×(勤続年数 − 20年)

勤続年数に1年未満の端数があるときは、切り上げて1年として計算します。
控除を引いた残りのさらに2分の1だけが課税対象になります。

勤続38年で2,160万円を受け取る場合で計算してみます。
控除額は 800万円+70万円×18年=2,060万円。
課税対象は(2,160万円−2,060万円)÷2=50万円だけです。
2,000万円を超える額を受け取っても、課税されるのはごく一部ということになります。

「退職所得の受給に関する申告書」は必ず出す

この控除を受けるには、退職金を受け取る前に「退職所得の受給に関する申告書」を勤務先に提出する必要があります。
提出しないと支給額の20.42%が源泉徴収され、確定申告で精算することになります。
職場から案内が来るのが普通ですが、提出しないといけない書類があることだけでも覚えておきましょう。

定年が65歳に延びると、退職金はどうなるか

公務員の定年は、2023年4月から2年ごとに1歳ずつ引き上げられているところです。

年度定年
2023〜2024年度61歳
2025〜2026年度62歳
2027〜2028年度63歳
2029〜2030年度64歳
2031年度〜65歳
国家公務員の場合。内閣官房内閣人事局・人事院の資料をもとに作成

自分が何歳で定年になるかは、生まれた日で決まります。
1967年(昭和42年)4月2日以降に生まれた人は、65歳定年が原則です(人事院「定年引上げ・再任用制度FAQ」)。
それより前に生まれた人は、生まれた年によって60歳から64歳の間で変わります。

生年月日から自分の定年退職年度を引ける早見表は、こちらの記事に載せています。

公務員の定年延長で収入はどう変わる?61歳から給料は7割
公務員の定年は2年に1歳ずつ引き上げられ、令和7〜8年度は62歳です。ただし給料が7割になるのは60歳ではなく「61歳に達する年度」から。FP2級元自衛官ノフクが、給与・退職手当・自衛官の階級別定年まで整理します。

ここで重要なのが、60歳に達した日以後の最初の4月1日から、原則として俸給月額が60歳前の7割水準になるということです。
そうなると、「俸給月額が下がるなら、退職金も減るのでは」と思いますよね。
ここは心配しなくて大丈夫です。

下がる前の俸給も考慮して計算される(ピーク時特例)

7割水準になった場合、退職手当は「ピーク時特例」という仕組みで計算されます。
下がる前の一番高かった俸給月額をもとにした部分と、下がった後の部分を分けて計算するので、7割になったからといって退職金が単純に3割減るということではありません。

60歳以降に辞めても「定年退職」として計算される

もう一つ、こちらのほうが大きいかもしれません。
当分の間は、60歳に達した日以後に退職した場合、退職理由を「定年退職」として支給率が計算されます。
定年が62歳、最終的に65歳になっても、60歳を過ぎていれば自己都合扱いで減らされることはないという制度設計です。

ただし、誰にでも同じように当てはまるわけではありません。
効いてくるのは勤続年数で、勤続25年以上かどうかで計算に使う規定が変わります。対象にならない職員もいます(国家公務員退職手当法 附則第12項〜第14項)。
なお条文には「非違によることなく退職した場合」という条件もありますが、これは懲戒の対象になるような不正行為が理由の退職ではない、という意味です。普通に辞めるなら気にしなくて大丈夫です。

辞める時期で金額が変わるので、決める前に人事担当に確認してください。

もらった後の3原則

  1. 焦らない。退職金が入る時期は金融機関の営業が集中します。焦って契約せずに内容をよく確認しましょう
  2. よく考えずに一括投資しない。まとまった額を一度に入れると、評価額が下がった時に心穏やかにいられなくなります。投資は慎重に
  3. 順番を守る。まず生活防衛資金を確保し、残った分を運用へ。ライフプランに沿って資産が築けているなら、使うことも考える

3つ目の項目については、それぞれ記事にまとめています。

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詳しくは「自衛官の若年定年制と退職金」で解説しています。

まとめ

  • 公務員の退職金は「俸給月額×支給率×調整率+調整額」。おおよその金額は自分で出せる
  • 国家公務員の定年退職の平均は約2,160万円。自己都合退職とは大きな差がある
  • 退職所得控除のおかげで税金の負担は軽くなる。ただし「退職所得の受給に関する申告書」は必ず出す
  • 60歳以降に辞めても「定年退職」として計算されるので、自己都合扱いにはならない
  • もらった後は「焦らない・考えずに一括投資しない・順番を守る」の3原則

私が貯金ゼロから1,000万円を作った道のりは、プロフィールにも書いています。

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