「任期制隊員の任期満了金って、いくらもらえるの?」
――結論から言うと、陸上自衛隊の場合、1任期(2年)で約88万円、2任期目の満了で約186万円です。(2026年10月より前に自衛官候補生から入隊した人は、1任期目が約77万円)
そして、退職手当として扱われるので、税金は少なく済みます。
FP2級元自衛官ノフクです。
この記事では、任期満了金の金額と仕組み、税金の扱い、受け取るか通算するかの考え方、そして受け取ったあとのおすすめの使い方をお伝えします。
(基準時点:2026年10月時点の制度)
この記事は、「副業できない人の資産形成の3つの柱」の柱①『家計を整える』にあたる記事です。
任期満了金は通称。正式には「特例退職者手当」
「任期満了金・任満金」といった呼び方は通称です。
防衛省の募集サイトでは「特例退職者手当」と説明されていて、「任期制で任用された自衛官に対し、任期満了ごとに退職手当が支給されます」と書かれています。
つまり、ボーナスのような手当ではなく、任期が終わるたびに受け取る退職手当です。
この違いが、あとで出てくる税金の話につながります。
任期と金額
任期制自衛官の1任期の長さは、自衛隊ごとに違います。
陸上自衛隊は2年、海上自衛隊と航空自衛隊は3年です。
2任期目からは、どの自衛隊も2年になります。
| 任期 | 陸上自衛隊 | 海上・航空自衛隊 |
|---|---|---|
| 1任期目 | 約88万円(2年) | 約136万円(3年) |
| 2任期目 | 約186万円(2年) | 約191万円(2年) |
| 3任期目(試算) | 約140万円(2年) | 約143万円(2年) |
| 4任期目以降(試算) | 約70万円(2年) | 約72万円(2年) |
1任期・2任期は、防衛省「令和8年度採用時の基本給等一覧」(2026年2月27日作成)より。
3任期・4任期以降は、2任期の金額から逆算した俸給月額に、法律で決まった日数を掛けた試算です。
実際の支給額は退職時の俸給月額で決まるので、昇給を考慮すると試算より少し多くなる可能性が高いです。
注目したいのは、陸上自衛隊の場合は1任期目と2任期目で金額が2倍以上ちがうことです。
一方で、3任期目からは金額が下がっていきます。
この理由については次の項目で解説します。
なお、表の1任期目の金額は、自衛官候補生を経ずに「2等陸士」などとして採用された人のものです。
2026年10月の制度改正より前に自衛官候補生として入隊した人は、候補生の期間(3か月)が任期から差し引かれるため、1任期目に掛ける日数が少なくなります(陸上87日、海上・航空137日)。
同じ俸給月額で計算すると、陸上自衛隊は約77万円、海上・航空自衛隊は約124万円です(試算)。
金額は「俸給日額×定められた日数」で決まる
任期満了金の計算のしかたは法律で決まっています。
退職するときの俸給月額を30で割った「俸給日額」に、任期ごとに定められた日数を掛けた金額が任期満了金の金額になります。
式として書くと、「任期満了金の金額=俸給月額÷30×任期ごとの日数」となります。
| 任期 | 掛ける日数 | 俸給月額の何か月分か |
|---|---|---|
| 1任期(陸上・2年) | 100日 | 約3.3か月分 |
| 1任期(海上、航空・3年) | 150日 | 5か月分 |
| 2任期 | 200日 | 約6.7か月分 |
| 3任期 | 150日 | 5か月分 |
| 4任期以降 | 75日 | 2.5か月分 |
陸上自衛隊で2任期目の金額が1任期目の2倍以上になるのは、同じ2年でも掛ける日数が100日から200日に倍増するからです。
そのうえ、2任期目は昇給して俸給月額も上がっているので、金額は2倍より少し多くなります。
反対に、3任期目は150日、4任期目からは75日と、掛ける日数が減っていきます。

任期制自衛官で退職した人の中には、この金額を知らずに退職を決めて、あと1任期頑張ればよかったと後悔している人もいました…。
あくまで進む道を決めるのは本人ですが、任期満了でもらえる金額を知っておくと辞める・辞めないを含めて将来の選択肢を増やせます。
なお、2021年度(令和3年度)のデータでは、現役の任期制自衛官の約84%が1任期目か2任期目でした(防衛省「任期制自衛官について」2023年3月)。
私のいた部隊は、退職する人や「曹」へ昇任する人が出てくるので、3任期以上の任期制自衛官はあまり多くないという状況でした。
「曹」とは試験に合格して教育を修了することでなれる階級で、昇任すると任期制ではなくなります。
任期満了金の税金は?退職所得控除で負担を抑えられる
任期満了金は退職手当なので、給料やボーナスとは計算のしかたが違います。
まず「退職所得控除」を引いてから、残った金額の半分だけが課税の対象になります。
退職所得控除は、勤続20年以下なら40万円×勤続年数です。
ただし80万円に満たない場合は80万円になります(国税庁「退職金を受け取ったとき」)。
ここからは、任期満了金のほかに退職手当などを受け取らない場合の概算です。
実際の税額は、支給額などによって変わります。
陸上自衛隊の1任期なら、勤続2年で控除は80万円。
約88万円との差は8万円で、課税の対象はその半分の4万円です。
税金は所得税と住民税を合わせて約6,000円なので、ほぼ満額が手元に残ります。
2任期目の任期満了金は、勤続年数を2任期目の2年だけで数えます。
1任期目の分をすでに受け取っているので、その期間は数えない決まりです(所得税法施行令 第69条)。
控除は80万円で、約186万円との差は106万円、課税の対象はその半分の53万円です。
ここに税率を掛けます。
所得税は、課税の対象が195万円以下なら税率5%なので、53万円×5%=26,500円です(国税庁「所得税の税率」)。
これに復興特別所得税(所得税の2.1%)が加わって、27,056円になります。
住民税は一律10%なので、53万円×10%=53,000円です。
合わせて80,056円、約8万円が任期満了金から差し引かれる計算です。
「退職所得の受給に関する申告書」は必ず出してください
この申告書を出さないと、退職手当から一律20.42%が引かれます。
あとで確定申告をすれば戻ってきますが、手間がかかります。
通常は部隊の担当者から申告書についての話があると思いますが、もし話がなかった場合は担当者に確認してください。
受け取った期間は、あとの退職金の勤続年数に入らない
任期満了金を受け取ると、その計算のもとになった期間は、のちに受け取る退職手当の勤続期間から外れます(防衛省の職員の給与等に関する法律 第28条の2第3項)。
関係してくるのは、任期制自衛官から「曹」や「幹部」に昇任して長く勤める人です。
たとえば陸上自衛隊で2任期(4年)勤め、2回とも任期満了金を受け取ってから「曹」に昇任した場合は、定年や自己都合で退職するときの退職手当は、最初の4年を除いた年数で計算されます。
退職手当は勤続年数が長いほど支給率が上がる仕組みなので、その分だけ金額は少なくなります。
自衛官が定年で退職するときの退職手当がどう計算されるかは、こちらで解説しています。

一方で、続けて任用されるときに「今回はもらわずに次の任期と通して退職手当を計算してほしい」と申し出れば、その時点では受け取らずに期間を通算できる仕組みもあります(同法 第28条第8項)。
どちらがいいかは、任期満了で辞めるのか、「曹」になって長く勤めるのかなどでも変わります。
確認されたときに迷わないよう、自分がどうしたいかを考えておきましょう。
悩む人は、今受け取れる金額と通算した場合の退職手当の見込みを担当者に聞いてから決めるといいでしょう。

私が現役のころは、任期満了が近づくと担当者から受け取るか通算するかの確認がありました。
私のいた部隊では、通算を選ぶ人はごく少数でほとんどの人が受け取っていました。
あとでもらえる任期満了金や退職金の金額を多くしたいか、今使えるお金が必要か、よく考えて選びましょう。
受け取ったあとが、いちばん大事
任期満了のあとは、続けて勤める人も、退職する人もいます。
どちらの場合も、受け取りを選択するとまとまったお金が一度に入ることは同じです。
このお金の使い方を考えておかないと、一気に消えてしまいます。
私のまわりには、任期満了金をもらってすぐに飲み会やギャンブル、高額な買い物で使い果たした人が何人もいました。
①まず生活防衛資金を作る
退職する人は、これまでかからなかった家賃や食費などのお金がかかるようになります。
任期を継続して勤める人も、急な出費に備えるお金がまだないなら、ここで作っておくと安心です。
生活防衛資金が準備できていないなら、任期満了金の一部は生活を支えるためのお金として手をつけずに残しておきましょう。

②高額物品の購入は総費用で考える
任期満了金が入ると、車など高額物品の購入資金にする人も多かったです。
ただ、車は買った後に税金・保険・車検・駐車場の費用も発生しますし、ローンを組んだら毎月の支払いもあります。
物の金額だけでなく、総費用がいくらで毎月の支払いがいくらになるか、その金額を払い続けられるか、も考えて決めましょう。
自衛官が車を買うときの考え方は、こちらにまとめています。

③残りは置き場所を変えて貯める、増やす
残ったお金を普通預金に置いたままだと、生活費と混ざっていつの間にかなくなっていた、ということになりかねません。
置き場所を変えておけば、「いつの間にか使っていた」を防げますし、将来使えるお金の準備もできます。
自衛官が使える共済貯金やNISAについては、こちらにまとめています。


まとめ
- 任期満了金は通称で、正式には「特例退職者手当」。任期満了ごとに受け取る退職手当
- 陸上自衛隊は1任期(2年)で約88万円・2任期目で約186万円、海上・航空自衛隊は1任期(3年)で約136万円・2任期目で約191万円(自衛官候補生から入隊した人の1任期目は、陸上 約77万円・海上と航空 約124万円)
- 金額は「俸給日額×日数」。陸上自衛隊の2任期目は日数が200日に増えるので2倍以上になり、3任期目からは150日・75日と減る
- 退職所得控除があるので税金は少なく済む(陸上自衛隊の2任期目で約8万円)。「退職所得の受給に関する申告書」を出さないと20.42%引かれる
- 受け取った期間は、あとの退職手当の勤続年数から外れる。「曹」になって長く勤めるなら、受け取るか通算するかをよく考える
- 続けて勤める人も退職する人も、まず生活防衛資金。高額物品は毎月払える額で考える。残りは置き場所を変える
自衛官はなぜお金が貯まりやすいのか、その全体像はこちらで解説しています。

私が貯金ゼロから1,000万円を作った道のりは、プロフィールにも書いています。

