「公務員や自衛官は、iDeCoにいくらまで掛けられるの?」
――結論から言うと、いまは月2万円ですが、2026年12月分の掛金から月5.4万円に上がります。
FP2級元自衛官ノフクです。
iDeCoは「掛金が全額所得控除になる」、公務員が使える数少ない節税手段です。
この記事では、上限額の変わり方と節税効果の大きさ、公務員の年金との関係、そして若年定年がある自衛官ならではの注意点をまとめます。(基準時点:2026年10月時点)
この記事は、「副業できない人の資産形成の3つの柱」の柱②『資産を育てる』にあたる記事です。
結論:上限額はこう変わる
| 時期 | 公務員(自衛官を含む)の掛金上限 |
|---|---|
| 〜2024年11月 | 月1.2万円 |
| 2024年12月〜2026年11月(いま) | 月2万円 |
| 2026年12月分から | 月5.4万円 |
注意したいのは、上限が上がっても掛金は自動では増えないことです。
増やしたい人は、iDeCoの口座がある金融機関で掛金額を変える手続きが必要です(2026年9月ごろから受付が始まっています。e-iDeCoなら2026年12月1日〜24日)。
掛金の変更は通常年1回までですが、2026年12月1日〜2027年11月30日に、それまでの上限(月2万円)を超える額へ増やす最初の変更は、回数に数えない特例があります。
「公務員は掛金の上限が低いからiDeCoの旨味が少ない」と言われていましたが、上限額が2倍以上になる今回の改正は大きな変化と言えるでしょう。
iDeCoの何がお得か:掛金が全額所得控除
掛けた金額はまるごと所得控除になり、所得税と住民税が軽くなります。
所得税や住民税を払っている人なら、購入した商品の運用成績に関係なく受けられるメリットです。
| 毎月の掛金 | 1年の控除額 | 税金が軽くなる額(目安) |
|---|---|---|
| 月2万円 | 24万円 | 約4.8万円 |
| 月5.4万円 | 64.8万円 | 約13万円 |
さらに、運用で増えた分にも税金がかからず、受け取るときも一時金なら「退職所得控除」、年金なら「公的年金等控除」が使えます。

NISAは「増えた分が非課税」、iDeCoは「掛けた分も控除」。
この二つの制度は似ているようで違う部分も多いので、違いを知ったうえで使い分けましょう。
掛金を自分の口座から払っている人は、年末調整で「小規模企業共済等掛金払込証明書」を勤務先に出すと、この控除を受けられます。
2026年の年末調整で変わることは、こちらにまとめています。

公務員の年金との関係
公務員には、厚生年金に加えて共済組合の「年金払い退職給付」がありますが、iDeCoはその上に自分で積み増す部分にあたります。
「公務員は年金が手厚いからiDeCoは不要」という意見もありますが、退職後も生活水準を維持したい人にとって、自分で作る年金の価値は大きいと私は考えています。
どれくらい足りないかは、ライフプラン表で退職後の収入と支出を並べると見えてきます。
ライフプラン表の作り方はこちらの記事にまとめています。

自衛官の場合:若年定年とiDeCoの関係
自衛官の掛金上限は、ほかの公務員と同じです(いまは月2万円、2026年12月分から月5.4万円)。
ただし自衛官には、若年定年制ならではの注意点が2つあります。
① 50代半ばで退職しても、iDeCoは60歳まで受け取れない
自衛官の多くは50代半ばで定年を迎えますが、iDeCoは原則60歳まで引き出せません。
退職してから60歳までの数年間、iDeCoのお金は使えないということです。
しかも、60歳の時点で加入期間が10年に満たないと、受け取りを始められる年齢が加入期間に応じて61〜65歳になります。
退職〜60歳の生活費は、退職金やNISA、現金など、いつでも使えるお金で準備しましょう。
自衛官の若年定年制についてはこちらの記事にまとめています。


「定年退職と同時にiDeCoを解約して、第二の人生を楽しもう」は60歳より前に定年退職する自衛官にはできません…。
iDeCoを受け取れる年齢を考えた人生設計をしましょう。
② 退職後も積み立ては続けられる。ただし受け取り方は早めに考える
2026年12月から、iDeCoは条件を満たせば70歳になるまで掛金を払えるようになります。
再就職して会社員になっても続けられます。
60歳を過ぎてからも続けられるのは、それまでiDeCoに加入していた人や、企業年金の資産をiDeCoに移した人などで、老齢基礎年金やiDeCoの老齢給付金をまだ受け取っていないことが条件です。
老齢基礎年金を繰り上げて受け取ると、iDeCoには加入できなくなります。
なお、2029年11月末までは経過措置として、それまでiDeCoに加入していなかった60歳以上70歳未満の人も新しく加入できます(老齢基礎年金を受け取っている人などは除きます)。
もう一つ気をつけたいのが、受け取るときの税金です。
iDeCoを一時金で受け取る年の前年以前19年以内に退職金を受け取っていると、勤続期間と加入期間が重なる期間の分を差し引いて、退職所得控除が計算されます(国税庁 タックスアンサー No.2732、所得税法施行令 第70条)。
若年定年で退職金を受け取った自衛官は、この条件に当てはまりやすいです。
18歳で入隊して56歳で定年退職し、iDeCoには40歳から60歳まで加入していた人の場合で説明します。
iDeCoの加入期間20年だけで計算すれば退職所得控除は800万円ですが、退職金の勤続期間と重なる16年分(40歳から56歳まで)が差し引かれて、実際に使えるのは4年分の160万円になります。
一時金で500万円を受け取ると、控除を超えた340万円の半分、170万円が課税の対象です。
この調整の対象から外れるのは、iDeCoを受け取る年から見て、前年以前19年の間に退職金を受け取っていない場合です。
56歳の年に退職金を受け取った人なら、76歳の年まで待つ計算になります。
ですが、iDeCoは75歳までに受給の請求をする必要がありますので、調整対象から外れるのを待つという方法は現実的ではありません。
一時金で受け取る、年金形式で受け取る、一時金と年金を組み合わせる、どの受け取り方にするのが自分に合っているか60歳が近づいてきたら試算して考えておきましょう。
なお、75歳までに請求しないと、iDeCoのお金は法務局に「供託」されます(iDeCo公式サイト)。
供託とは、受け取る人に渡せないお金を法務局に預けることです。お金に換えて預けられるので、運用はそこで止まります。
受け取るには自分で法務局に請求する必要があり、請求できることを知ってから5年、請求できるようになってから10年が過ぎると、時効によって受け取れなくなります(民法 第166条第1項。法務省も、供託金にはこの消滅時効が適用されると案内しています)。
iDeCoを始める前の注意点3つ
- 原則60歳まで引き出せない。生活防衛資金と当面使うお金は別に確保してから
- 口座管理の手数料がかかる。金融機関選びで差が出ます。手数料や商品を比べると、ネット証券が有力な候補です(私はNISAもiDeCoも楽天証券を使っています)
- NISAとの順番。使い方が違うので、自分に合う順番を考えましょう。私のおすすめは、いつでも引き出せるNISAを先にして、余力でiDeCoです
iDeCoを始めるための窓口は運営管理機関(金融機関)です。
手数料や選べる商品が違うので、NISAと同じくネット証券が有力な候補になります。
選び方はこちらにまとめています。

投資と兼業ルールの関係が不安な人は「公務員がNISAをやってもいいの?」をどうぞ。
iDeCoもNISAと同じ理屈で問題なくできます。
手続きの面では、2024年12月から、iDeCoに加入するときの事業主の証明書と、年1回の確認が廃止されました(厚生労働省、2024年12月1日施行)。
掛金を自分の口座から払う「個人払込」なら、加入時に事業主の証明書を用意する必要はありません。
ただし、給与天引きの「事業主払込」を希望する場合は、いまも事業主の証明書が必要です。

iDeCoは「途中でやめて引き出す」ができません…。
金額は少なめに始めて、慣れたら増やすのが安全です。
まとめ
- 公務員・自衛官のiDeCo上限は、いまは月2万円。2026年12月分から月5.4万円
- 上限が上がっても掛金は自動で増えない。増やすなら手続きが必要
- 掛金は全額所得控除。月2万円でも年約4.8万円の節税(所得税10%・住民税10%の場合)
- 自衛官は、若年定年〜60歳の生活費にiDeCoを数えない。受け取り方も早めに試算
- 上限まで掛けるのが正解とは限らない。私のおすすめは「NISAが先、余力でiDeCo」
「稼ぐ」以外で使えるお金を増やす手段の全体像は「使えるお金を増やす方法は副業だけじゃない」で解説しています。
私が貯金ゼロから1,000万円を作った道のりは、プロフィールにも書いています。

